Z32…その178、究極のZ32。-最終型2シーターツインターボ-

最終型2シーターツインターボに乗らせていただく機会を頂きましたので感動と興奮が冷めないうちに記事にしておこうと思います。

・オーナーについて
IMSAで活躍したZに憧れ、Z32を数台乗り継ぐ熱いオーナーです。
IMSAでのZはカニンガムレーシングによりエースドライバーとしてスティーブミレンを擁し(Z32用パーツで有名なSTILLENの創業者ですね)チューンドVG30DETT(レーシングエンジン?)を搭載したマシンをGTSクラスに参戦させ優秀な成績を収めています。今でも数台が現存しています。
私はレース関係疎いので詳細に教えていただき理解が深まりました。
(デイトナの勝利で明日が熱くなった一人ですね
また、「Z32のスポーツカーとしてのポテンシャルを証明していきたい」という熱い思いをお持ちで、サーキット・公道アタックイベントにもZ32で参加する「しっかり走る」タイプのオーナーです。

このマシンがデイトナ24時間仕様なんですよ!とRCの愛車を紹介いただいている図

・個体について
現オーナーが約20年前にZに長く乗ることを考えて本格的なレストアを考えた際、主治医の整備士の方から「まだ買える新車みたいなのを買った方が良いのでは?」とアドバイスをもらって入手した1台。
「最終型2シーターツインターボ」を指名して探してもらったとのことですが…詳しい方ならご存じのとおりZ32の中でも究極に希少な仕様です。
Z32は国内外合わせて10万台以上売れていますが、その中でも40台程度しかない希少車となっています。ご参考までにコンバーチブルが約300台程度なのでどれくらい希少かお分かりいただるかと思います。
(台数については通説です。でも希少なのは間違いないですね
「完調なZ32のリファレンス」とするべく丁寧に維持されてきた1台で、距離的にもある程度しっかり乗られているにも関わらず非の打ち所がない調子・美観で感動しました。
(整備のための小技やエンジンルームの磨かれかたに感動しました。

・試乗

インフォメーターの取付位置と取付方法が「分かってるなー」という感じ、ステアリング5mm下げは純正ステアリングでもかなり運転しやすかったです。曇ってますが運転時はコンプレッサーをオフにしていたため。


ということで乗らせていただきました。
あいにくのウェットでしたが無理しないという意味ではちょうど良かったと思います。
とにかく楽しかったので。

まず座って感動したのがVer.Sシートのコンディションの良さ。
きちんとクッションが効いていて私が知っているそれとは別物でした。。。
最終だから中期のそれとは違うと思うのですが、私の個体についていたものはスポンジなのかバネなのかクッションが終わっていて残念な印象しかないのですが、しっかりクッションが効いていて乗り心地良かったです。ホールドという意味では…ボチボチです。
これは私が普段セミバケなので…Ver.Sシートも踏ん張ると体がちゃんと食い込んで支えられるのは知っているのですがさすがにそんなに目を三角にして走りはしないので…。


知らない天井だ…センターのライト回りは作りが一緒なのでちょっと不思議な設計に見えますね。

エンジンについては私も一応ターボオーナーではありますがこの車は全くの別物です。
そもそもATとMTではタービンの回りかたが全然違い、MTはちゃんとターボ車で3千回転辺りからしっかりブーストがかかります。ATと同じと勝手に思って低回転から踏んでいくと「あれ?」という感じで少し待ちがありトルクがドーンとでる。ちゃんとターボ車ですね。
もちろんATはトルコンがあるのでそれも含めてフィーリングは全然違うわけです。
3千回転からしっかり速いので所謂どっかんでは全然無くて乗りやすく、VGの良いところだなー、などと思いました。後、最終型って謎に速いんですよね。この車も例外ではなく。
とにかく不調が感じられず、下からトルクがあるのでやっぱり「気づいたら速い」です。

柿本の2本出しサウンドもちょうど良くパワー感もあり、良い感じでした!

とはいえMTなのでATに比べれば自分で操作する部分が多いのですが、Zの広いトルクバンドでギア固定でルーズにも走れてしまいます。こういうところもZの美点だなーと。
クラッチはストロークがかなり短くビックリ、私の車がおかしいのでしょうか。。。
(ノーマルでストロークのみ調整とのことでした。なるほど…そういうのもあるんですね。
走ってる間はサクサク繋げられるので快適でした。

動き出して思ったのは不思議なほどの静粛性、タイヤから伝わる微細な振動みたいなノイズも無く…
やっぱり自分の車うるさいんだなー、と再認識。
とはいえVer.Sではあるので…(あるいは2Sは名前だけ変わってZXと同等とか…??)
最終型での補強がやはり効いているのでしょうか。あるいはブッシュ類が生きているのか…。
どうやったら私のもああなるんでしょう笑
静かさとかなりリンクした内容ですがボディの塊感が凄く、足回りの付け根からしっかり箱として硬い感じがありました。
私の車と同じ車高調キットが着いているのですが減衰はかなり硬くセットされているにも関わらず、入力に負けて嫌な振動が出ることは全くなくしっかり受け止められているような印象で羨ましくなりました。今後の課題、ですね。

ブレーキはフロント330mmローターにBNR32キャリパー、リア310mmローターに純正キャリパーでかなりしっかり止まれる仕様でした。周回も問題ない、とのこと。公道では踏みしめるまでもなくペダルに足を乗せてストロークさせれば十分減速できるスペックですね。
ややフロントが勝ち気味かな?という感じはしましたが後述の通りちょっとピーキー感のある挙動なのでこれくらいで良いのかもしれません。
あんまりやるとうっかり横Gかかってるときに踏んだら回っちゃいそうなので。

足回りはTEINの車高調、吊るしの8/6㎏減衰は6/6、プリロード等はこだわってセッティングされているということでした。2シーターは前後のピッチングが収まりづらい傾向にあるということで苦労があるようです。2by2だと全然気にならない部分なので新たな発見でした。あるいは私も苦労(?)したTEIN吊るしバネの初期の緩さでヒョコヒョコ動くやつのことかもしれません。
ボディが固いせいか減衰の値の割には動くなーと感じましたがフィーリングが全然違うのでちょっとこれはあてにならない感じも。パワーもブレーキも強力なので無駄にピッチさせてたかもしれません。今思うとロール感はあまりなかったかも。。

頭の重さはあるものの短いおかげか2by2程感じずクイックに曲がっていきます、頭が重いというよりは逆に尻が軽い感じでピーキー感はゆっくり走っていてもかなり強く感じました、実際にはHICASが動いて出口では常にアンダー傾向になっているような気がするのですが横Gがかかっていると常に「来そうな」感じが腰のあたりにムズムズと。さすがにやりませんでしたがボディのしっかり感からインフォメーションはかなり多いので慣れたら踏んで曲げられるのかも…?

大事なお車なので遠慮気味ではあるものの小さく曲がって直線はズバーンと加速余裕のブレーキング。最高に痛快でした。

しっかりと「走れる」仕様で、ドライバーへのインフォメーション、レスポンスは申し分なくそれでいてルックスはほぼ純正を保ち高級感を失わない、そして状態は完調そのもの、オーナーの思いも含めてS30からの系譜に連なるZ32のスポーツカーとしてのDNAが表現された究極の1台かもしれません。

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